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長引く滲出性中耳炎について ~長引くパターン~

 

滲出性中耳炎になる子供の頻度は非常に高く、小学校に入るまでに80%の小児が罹患すると言われています。滲出性中耳炎になっても2/3のお子さんは1~3か月以内に治り、特に治療も必要がないことも多い疾患です。滲出性中耳炎の3割のお子さんが半年以上、中には何年も続くものがありますが、それでも9割のお子さんは自然に治ると言われています ごく一部が癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎といった病気に移行していくことがあり、それは1%ぐらいと言われています

滲出性中耳炎が長引くことが多いのは次のような場合です。
・急性中耳炎を頻回繰り返す
・乳児期の母乳哺育の欠如
・集団保育
・アレルギー性鼻炎や上気道感染がある
・性別が男児
・ご両親、兄弟に滲出性中耳炎の既往
・家族の喫煙
・口蓋裂、ダウン症
・未熟児、低出生体重で生まれた人
・鼓膜の動きの検査(ティンパノグラフィー)で山が出ない(B型)


これらを挙げたときに、お気づきになられる方もいるかもしれません。繰り返す急性中耳炎(反復性中耳炎)のリスク要因で挙げたものと、内容が被っています。反復性中耳炎と長引く滲出性中耳炎は切っても切れない関係にあります。

冒頭に述べましたが、普通の滲出性中耳炎は、少し時間を要するものの、
3か月以内に多くは自然に治癒します。
ただし、その期間中も浸出液がぬけたと思ったら、次に見たときには浸出液がたまっていることも少なくありません。滲出性中耳炎に罹患している間は、滲出液の量も見た目もダイナミックに変化します。
少なくとも3か月、大体3か月~6か月は薬、通気などの治療のみで経過観察でいいのではないかと思います。滲出液が溜まっても落ち込む必要はありませんが、滲出液がなくなったからといって治ったともいいきれず、しばらく観察していく必要があります。
つまり
・滲出性中耳炎になっている間は、滲出液の量は変化する。
・3~6か月は経過観察、もしくは飲み薬、耳管通気療法などの保存的治療で経過観察する
ということが言えます。

次に6か月を超えても治っていない場合、どのように考えていくか、です。
滲出性中耳炎の治りやすい、長引きやすいのは、前述した要因以外にも
・季節による変動 (冬は治りにくく、夏は軽快しやすい)
・年齢 (免疫が未発達な2歳未満、扁桃やアデノイドが生理的に肥大する3歳から6歳)


に関係してきます。

滲出性中耳炎にかぎらず上気道炎もそうですが、夏には軽快していき、冬には悪化する傾向があります。
また、前述した年齢によって明らかに治りにくい時期があります。
だから滲出性中耳炎に罹患した年齢によって治りやすい時期というのが上記以外の時期と言えます。
つまり滲出性中耳炎が長引いたとしても
・2歳未満で罹患
⇒免疫が少しずつ発達してくる2歳から3歳の間で一旦軽快してくる(これは反復性中耳炎も同じです)
・3歳から6歳で罹患
⇒7歳以降は、アデノイドの大きさが少しずつ小さくなっていくこと、
また免疫機能が発達してくるので、小学校に入ると軽快してくる。
・7歳以降に罹患
⇒小学校高学年ぐらいには大部分が治る

滲出性中耳炎が6か月以上続いても季節や年齢によって、もう少し経過観察することもあります。つまり、
治りにくい年齢の時は、なにをやっても治らないことが多い反面、ある年齢を過ぎると治りやすくなる
という傾向があります。

ごく一部は治らずに滲出性中耳炎が持続します。
2歳未満の時に指摘され3歳をこえても続いている場合、3歳から6歳で罹患し小学校になってもなおらない、10歳をこえても続いている、という場合、やはり難治であると言えます。
また3歳から6歳の間に滲出性中耳炎を指摘された患児の中には、2歳までに急性中耳炎を繰り返したり滲出性中耳炎に罹患していた人が含まれていると思われますし、7歳以降で滲出性中耳炎を指摘された患児の中には、やはり3歳から6歳の間に知らないうちに滲出性中耳炎になっていて治らずに長引いてしまっている人が含まれていると思われます。
その中のさらにごく一部が、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に移行していくと言われています。

以上より
・滲出性中耳炎は長引くことがよくあること
・滲出性中耳炎は罹患中にかなり変動するので治ったかどうかも経過を追って観察が必要である
・さまざまな治療を行っても治らないこともある
・ある一定の時期に差し掛かってくると改善が見られることが多い

長引いている、難治性ということは、その間は聞こえが悪いため、チュービングを積極的に検討すべきと考えます。