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好酸球性中耳炎

 

好酸球性中耳炎は、鼓膜を見ると、鼓膜穿孔を伴う慢性中耳炎や滲出性中耳炎のような所見が見られます。しかしそれら二つとは違って、中耳に溜まっている液体に好酸球という細胞が多く含まれており、慢性中耳炎や滲出性中耳炎とは異なる病態の中耳炎として知られています。
この病気は、気管支喘息に合併する難治性中耳炎として1997年にはじめて報告された病気です。
特に成人になってから気管支喘息やアスピリン喘息などの喘息と診断された、あるいは副鼻腔炎を繰り返し好酸球性副鼻腔炎という診断を受けた方で、遅れてこの中耳炎の症状がでてくることがあります。
難治性中耳炎というだけではなく,放置すると高度の難聴をきたすことがあり、早期に診断し適切な治療を行うことが重要です。
診断)
慢性中耳炎(鼓膜穿孔がある)または滲出性中耳炎と似た鼓膜所見を示しますが、貯留液は “にかわ状”と称される黄色の非常に粘調でねばねばした貯留液が見られます。貯留液が黄色ですので、時には急性化膿性中耳炎のような膿のたまった中耳炎と見間違えることもあります。この貯留液に好酸球が含まれていることを病理組織検査または細胞診で確認します。
また、気管支喘息を合併する、従来の抗生剤投与や鼓膜切開などの中耳炎の治療が効かない、鼻茸を合併する(好酸球性副鼻腔炎やアスピリン喘息)ことで診断ができます。

治療)
① 鼓膜切開、ステロイド点耳
滲出性中耳炎の像を示している場合は、鼓膜切開を行ってから貯留液の除去を行い、その後ステロイド点耳を行います。しかし粘性の高い貯留液を吸引などで除去しようとしても、なかなか除去が難しいため、ヘパリンを生理食塩水で5~10倍に希釈して耳浴することで除去しやすくなります。除去を行ったうえで、ステロイドの点耳薬を使用します。
② 抗生物質投与
また鼓膜が穿孔しているときは直接ステロイド点耳を行うことができますが、細菌感染を併発していることもあるので、抗生剤を併用するなどの対応が必要となることもあります。
③ ステロイド内服、点滴
局所ステロイドの点耳での治療では改善しない場合や、高度の肉芽の増殖を認めたとき、感音難聴を来たしたときなどは、ステロイドの内服あるいは点滴が必要となります。
④ 抗ロイコトリエン剤などの抗アレルギー薬
ステロイド以外の内服薬として、抗アレルギー薬の内服を行うことがありますが、よくアレルギーで出される抗ヒスタミン剤は効果がなく、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬を使用します。
なお鼓膜チューブ留置は、貯留液が粘性であることからチューブからの排泄が困難であること、チューブがすぐに脱落してしまうことが多いことが多く、効果があまりありません。

注意していただきたいこと)
成人になってから喘息を発症した方やアスピリン喘息の患者さんが、耳のつまり、難聴などを訴える場合は好酸球性副鼻腔炎や好酸球性中耳炎の可能性があります。病状が進行すると感音難聴という、現時点では根治治療が難しいため、早期発見、早期治療が大切となります。